バンド端付近にフェルミエネルギーが来る場合、そこの状態密度が高い構造が選ばれる、について

授業で知ったのですが特に証明がなかったので考えました。

仮定

  • 構造によらずバンドの上端・下端は同じ
  • 構造によらずバンドに入る電子数も同じ( N = \int f(E) \, dEが一定)
  • 構造によらず電子がバンドに全部入った時のエネルギーも同じ( U = \int Ef(E) \, dEが一定)
    • 状態密度として上下対称なものしか考えない場合、常にこれが満たされます

フェルミエネルギーがバンド下端付近の場合

少数の電子がバンドに入ることになります。

その場合、バンド下端付近に大きな状態密度を持つ構造のほうが、エネルギーの低い状態にたくさんの電子を詰め込めることになります。

すると全エネルギーが低くなるので、そういった構造のほうが安定で選ばれやすいということになります。

フェルミエネルギーがバンド上端付近の場合

一定のエネルギー準位以下の状態に入れられる電子の数を考えてみます。 すると、バンド上端付近に大きな状態密度を持つ構造は、そうでない構造と比べて少数の電子しか一定のエネルギー準位以下の状態に入れられません。 したがって、バンド上端付近に大きな状態密度を持つ構造は、そうでない構造と比べてフェルミエネルギーが高いです。 それにもかかわらず、全エネルギーはバンド上端付近に大きな状態密度を持つ構造のほうが低くなります。

ちょっと不思議ですが、空孔で考えてみると一目瞭然です。

「構造によらず電子がバンドに全部入った時のエネルギーも同じ」と仮定しているので、「電子が 入らなかった 状態のエネルギーが高ければ高いほど、全エネルギーは低い」ことになります。 するとフェルミエネルギーがバンド下端の時の議論とほぼ同様になり、「バンド上端付近の高いエネルギー準位にたくさんの空孔を詰め込める構造のほうが有利」ということがわかります。