なぜドルコスト平均法しないほうがいいか

新年になりました。

タイトルに関してですが、なんだか話があったので軽くまとめておきます。

要点としては、

  • 投資の期待値が標準偏差に比して大きい(インデクスファンドなどはこの条件を満たす)投資商品がある場合、
  • 余剰資金があるなら、
  • 何も考えずにその資金を即投入したほうが良い

というものです。

これに対して、「ドルコスト平均法は(高値で買ってしまう)リスクを削減しているから有効なはずだ」という反論がありますが、これが間違っていることを説明します。

なお、「投資の期待値が標準偏差に比して大きい」が満たされない場合、ドルコスト平均法は一定の合理性があります*1

直感的な理解

ドルコスト平均法を行うと、現金で持っている期間が存在するため、リターンを得る機会を逃します。 行いたかったことは「投資を行って、リターンを得る」だったはずなのに、「高値で買うリスクを回避」に目的が変わってしまっています。

その上、「高値で買うリスクを回避」と言っているにもかかわらず、値上がりしそうな投資商品を選んでいるため、待っている間に値上がりする蓋然性が高いです。 待てば待つほど、実のところ、高値で買うリスクを引き受けていることにすらなります。

統計的な理解

たしかにドルコスト平均法はリスクを削減します。 しかしその効果のほとんどは、「現金で持っている期間が長い」ことによります。 ドルコスト平均法では投資額面が平均で半分になるため、リスクを半分に下げる一方で、リターンも半分に下がってしまいます。

ドルコスト平均法特有の効果としては、

  • 投資商品の分散が大きくなるほど、高値で買うリスクを回避したことによる、追加のリスク削減が得られる
  • 一方で、投資商品の期待値が大きくなるほど、複利効果を逃したことによる、追加のリターン削減が発生する

のふたつがあげられます。

半額を投資する方法との比較

リスクを半分にしリターンを半分にするなら、余剰資金の半分を期初で一括で投資に回し、残りを現金で持っておく、という方法でも同じ効果が得られます。 これに対しドルコスト平均法は、

  • 分散がやや下がる
  • 期待リターンがやや下がる
  • あわせると、シャープレシオはわずかに上がる
  • リターンの中央値はほぼ同じ
  • リターンの第一四分位・第三四分位は下がる
  • 期初でのリスクが低い
  • 期末でのリスクが倍
    • 期末には全額を投資に回していることになるので

という違いがあります。

*1:正確にはこれは誤謬で、流動性が低くなっている時に取引をしている(安くなっている時には売り手が少なく、高くなっている時には買い手が少ない)ため売買が成立しにくい、という問題があります。